ホンダ・モトコンポ(AB12型-1981年)

日本車-ホンダ

ホンダ・モトコンポ(AB12型-1981年)_01
ホンダ・モトコンポ
(Honda Motocompo-AB12型-1981年)
ホンダ・モトコンポ(AB12型-1981年)_021981年、シティ(CITY)と云う斬新なコンパクトカーが発表された。
同時に、そのシティのトランクにピッタリ収まる原付が登場した。
ハンドルや、ステップ、シートがコンパクトに収納でき、四角い箱のようになるスクーター。
それがモトコンポである。
家からシティで、出かけていき、現地を散策する時には、このモトコンポをトランクから下ろしてひとっ走り。
そんなイメージで作られたのだろう。


ホンダ・モトコンポ(AB12型-1981年)_04【スペック】
車両形式:ホンダ AB12型
規格:第一種原動機付自転車
エンジン:オイル分離給油式 2サイクル単気筒 49cc
最大出力:2.5ps/5,000rpm
燃料タンク容量:2.5L
始動方式:キック式
駆動方式:ドライブチエン式
ホイールサイズ:8インチ
車両重量:45kg
ホンダ・モトコンポ(AB12型-1981年)_05名前のとおり、折りたたみ式バイクと云うよりも、箱にハンドルやシート、ステップを継ぎ足したような、四角いデザインが特徴。ちゃんと灯火類や方向指示器、スピードメーターなどの保安部品も付いている。
写真には無いが、バックミラーもハンドルと共に折りたためるようになっている。
【モトコンポの畳み方】
1.シートの前のカバーを開けて、ネジ式のハンドル固定金具を緩め、手前に折りたたむ。
2.シート下のレバーを操作して真下にパンタグラフのように引っ込める。
ちなみに、シートをたたむとエンジンが始動しない機構になっている。
ホンダ・モトコンポ(AB12型-1981年)_033.ステップは、たたむとサイドカバーの窪みに収まるようになっている。
4.ガソリンコックをOFFにする。
5.キャブレターのフロート室のドレンネジを緩めてフロートのガソリンを抜く。
6.両脇に付いたサイドモール下の取っ手を掴んで、車に搭載する。
と云う手純だ。
じつは、横に寝かして積むことも一応は可能であったようだ。
但し、古くなると、オイルタンクのゴム栓が劣化して密封性が悪くなるため、控えておいた方がよい。
また、意外と知られていないのが、左サイドモールの先端に金属製のリングが着いており、これは引き出すと盗難防止用のワイヤーがフレームから出てくるようになっている。
まぁ、21世紀の世の中ではあまり役に立ちそうに無いほど細いものではあるが、柱に繋いでおくと、飼い犬のようでなかなか愛らしい。
ホンダ・モトコンポ(AB12型-1981年)_06
上部の黒いカバーを開けると、ガソリンタンクがあり、その為、鍵が掛かるようになっている。
ハンドル上部に見える赤いダイヤルがハンドルを固定する為のネジ。
モンキーやスカッシュと云ったホンダの原付にも見られる機構だ。
また、サイドカバーには、各部の機構を示す文字が戦闘機風のデザインで入っている。
標準のボディカラーは、黄色のほかに、赤と白が用意されていた。
ホンダ・モトコンポ(AB12型-1981年)_07
じつは、ついやってしまいがちなのが、持ち上げるときに、ヘッドライトやテールカウルの下を持ってしまうこと。しかし、それをやるとカウルが割れてしまうことがある。
それを防止するために、手が掛かる部分はギザギザの凹凸を付けてあると云う工夫がされている。
フロントサスペンションは、テレスコピック風。ブレーキは極小さなドラムタイプだ。
ホンダ・モトコンポ(AB12型-1981年)_08
ピンボケだが、カウル内部も掲載しておこう。
エンジンから駆動方式は、ホンダのハミング(NC50)や、子供用モトクロッサーのQR50などと共通部品が多い。
但し、QRとはマフラーとエンジン特性が異なるらしい。
また、同系統のエンジンで、ロードパルやカレンと云うスクーターもあったのだが、それらは自動2段変速だったので、それらのエンジンへの換装が愛好者の間で行われている。
これにより、若干出足が良くなるらしい(標準の出足は、後述のインプレ参照)。
ホンダ・モトコンポ(AB12型-1981年)_09
こちらは、上部の中身。
レストア前のモトコンポなので、汚れているが、各部のレイアウトは解るだろう。
燃料計は、タンク本体に付く。
機構そのものは、非常にベーシックなものばかりなので、タンクの中さえ錆びていなければ、レストレーションは意外と簡単に出来る。
ホンダ・モトコンポ(AB12型-1981年)_10こちらは、レストア中の車体。
タンク類とキャブレターを下ろしてあるので、スチールパイプフレームの構成がよく解ると思う。
ホンダ・モトコンポ(AB12型-1981年)_11こちらは、モトコンポ愛好者の方に伺ったバッテリー補修の一例。
どれほど正当性があるのかは不明だが、6V車と云うことで、田宮のラジコン用バッテリーを積んだところ、意外と普通に使えた。
細長い特殊な形状のモトコンポ用バッテリーは既に入手困難で、見つけても非常に高騰していたので、このようなアイデアに行き着いたのだろう。
ちなみに、ラジコンバッテリーは7.2V。当然ヘッドライトが明るくなった。
ただ、ヒューズが飛んだりはしなかったが、耐久性や安全性は不明。
モトコンポならでは2ショット。
ホンダ・モトコンポ(AB12型-1981年)_12ホンダ・モトコンポ(AB12型-1981年)_13
小さな車体は、片開きの小さな家の門を軽々とクリアする(左)。
これより狭くても、ステップを折りたたむか、さらには、ぜんぶ畳んで手で持ち上げればなんとかなるので、相当狭いところにも入れられる。
2台あれば、縁側の縁台の代わりにも成る。と、云うのは冗談だが、普通の原付なら、このスペースで一台分だろう(右)。
残念ながらシティに搭載した状態の写真を一枚も残していなかったのだが、たたんだ状態を様々な角度から。
ホンダ・モトコンポ(AB12型-1981年)_15
【当時のロードインプレッション】
エンジンは、ホンダ・ハミングとほぼ同様で、出足でクラッチが繋がると、あとはチェーン直結なので、エンジンパワーでどこまで引っ張れるかと云う走りになる。
最高速度は、とても簡易なスピードメーターの表示で50km/h+α出れば上出来といったところ。
そこに至るまでに相当な時間を要するので、小さいからといって、不用意に信号待ちですり抜けて先頭に出ようものなら、確実に後ろの自動車からヒンシュクを買う。
下り坂なら、60km/hぐらい出るだろうと、やってみたが、55km/hぐらいで、アクセル全開のままでもエンジンブレーキのようになって加速は終了する。
恐らく駆動系の方が、それ以上出ない仕組みなのかもしれない。
とにかくノーマルでの動力性能には一切期待しない方がよい。
次いで、ハンドリングだが、シティへの搭載を重視してか、ホイールベースが異常に短いか、キャスター角が立っているかだろうが、直進性がとても悪い。
さらに8インチなので、道路のギャップを拾いやすく、高いスピードのままコーナリングするには、コツが必要だった。
そして、8インチ車特有の、「コケる!」と思ったら、既に地面とコンニチハしていると云う具合なので、注意が必要だ。
しかし、クルマに積んで移動できる事や、狭い玄関口でも乗ったまま入っていける利便性と、置き場所を取らないことは素晴らしい。しかも、走っていると良くも悪くも必ず注目を浴びる。
貧素な動力性能と、荷物を積む場所も無いので、さすがに長距離は辛いが、ちょいと友達の家まで乗って行って笑いを取るには十分なキャラクターを持っている。
ホンダ・モトコンポ(AB12型-1981年)_14【こぼれ話】
わたしは過去に、黄色ばかり3台持っておりました。
内、一台をレストアしてシティ・ターボ2に積んで、方々で乗り回していました。
やはり、コイツは、シティと一緒が一番似合う。
(しかし実際に積むとシティの動力性能にかなり影響するのだが。)
21世紀に入っても、モトコンポの愛好者は多く、数は減ったが、熱いマニアの下で幸せに暮らす個体は、まだまだあるようだ。
古くなればなるほど、不思議系のバイクとして歴史に残ることでしょう。

タイトルとURLをコピーしました