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オーテックジャパン・セドリック・ロイヤルリムジン
(Autech-Japan CEDRIC ROYAL LIMOUSINE – PAY31改型 – 1987年式)
珍しいセドリックをご紹介します。Y31系セドリックと云えば、モデルライフサイクル日本一の国産セダンですが、その初期には、バブル景気の時期もあり、豪華なストレッチリムジンが、日産自動車の特装車部門が独立した「株式会社オーテックジャパン」の手で創られていました。
ここでは、今や大変貴重なロイヤルリムジンの一台をご紹介します。
1986年に、日産自動車の特装車部門(パトカー、救急車や保冷車から、ハイウェイスターなどの一般向け特別仕様車を含む特別装備車を作る部門)が、独立して「株式会社オーテックジャパン」となりました。この頃の日本はバブル景気の盛りでした。
そんな時代の需要を見込んで東京モーターショウに登場したのが、このY31型セドリックセダンをベースに全長を伸ばした「ロイヤルリムジン」でした。
そして、その出品モデルは、翌1987年に販売されました。
外観は、セドリックのボディパネルそのものなのですが、大きなフロントグリルやテールランプ、オーナメント(バッジ)など、細部が異なります。
Y31型の3,000cc V6モデルをベースにしており、前後バンパーは、大型のものが着いていました。
「NISSAN CEDRIC」のバッジもリヤにちゃんと残っています。
一説には、当時のセドリック・グロリアのカタログに普通に載っていたと云います。
こちらが、オーテックジャパン・セドリック・ロイヤルリムジン専用の大型フロントグリル。
ノーマルのセドリックと比較して、厚みがあります。そして中央に大きなエンブレム?が入っているのが特徴です。
ただ、意外だったのはこの種の高級リムジンにありがちな、ボンネットの先端にそびえ立つ立派なマークは装備していません。
これはボンネットに突起物があると安全上良くないなどの理由かもしれません。
これは、日本ならでは、さらに日産系ならではのオプションがさりげなく着いていました。
このクルマのオーナーの「家紋」が、延長されたサイド部分の柱に入れられています。
ちなみにこの家紋は、初代オーナーのものだそうです。
ちなみに、家紋の名前は「五三桐(ごさんのきり)」と云う家紋だそうで、五大紋の一つに属する皇室、将軍家から庶民まで、幅広く分布する家紋だそうです。
さて、エンジンは1987年当時の日産のフラッグシップエンジン、「VG30ET」型、2,960cc、水冷式V型6気筒SOHC2バルブのターボチャージャー付でした。
フェアレディZ(31系)などにも積まれていたエンジンです。当時、グロスで230馬力と発表されていました。
ちなみに、当時は「プラズマα V6 3000 VG30ET」などと長い名前で呼ばれていたと思います。
エンジンルームは、V6ターボのセドリックそのものでした。
そして、このロイヤルリムジンは、エアサスペンションを装備していました。さすが高級車と云う感じですが、定期的なパーツ交換が必要といわれるエアサスを、30年近くも保持しているのは凄いと思いました。
わたしは、同じくオーテックのセドリック・ブライダルに乗っていますが、こちらはタクシーと同じボヨンボヨンのサスペンションなので、このリムジンの乗り心地が気になるところでした。
室内ですが、前席の眺めは、セドリックセダンのブロアムモデルと同じでした。しかし、しっかりと本皮シートが装着されています。
ちなみにシフトは、コラムの4段ATで、シートはセパレート型となっていました。
乗車定員は、車検上も構造上も4名乗車となっています。
そして、ロイヤルリムジンの真骨頂がこれ。VIPをお迎えする後席は、前席とパーティションで区切られ、内装色も後席専用の革張りと同じ色で統一されており、ウォールナットもより豪華なものが与えられていました。
右奥の出っ張った部分は恐らくテーブルが出てくると思われます。埋め込みのテレビがブラウン管や、オーディオシステムが時代を感じさせますが、どこに出してもおかしくない高級感が漂う空間でした。
ちなみに、この豪華なパーティションパネルを装備しないタイプもあったようです。
マニアには気になる部分を少し。
オーテックのロイヤルリムジンは、87年にセドリックとグロリアベースのものが創られたようで、生産はこの一回切りだったようです。実際にどれぐらいの台数が売れたのかは不明です。
さらに、後に90年代にもロイヤルリムジンが創られましたが、こちらはプレジデントベースだったようです。
このセドリックロイヤルリムジンは、型式名は、セドリックと同じ「Y31」系のままで「E-PAY31」となっていました。車検証には、ブライダルセダンと同じく「PAY31改」となって、「改」が着いていると思われます。
※わたしのブライダルセダンは、「QJY31改」です。
【こぼれ話】
この個体は、「チームヤマモト・クラシックカーフェスティバル 2011(京都府丹波市)」の会場の駐車場で見つけて、オーナーさんにお声をかけさせて頂き、取材させていただきました。ありがとうございます。
じつは、大変若い方が現オーナーで、オーナーさんの今風のファッションと、このロイヤルリムジンの組み合わせが、なんともかっこよかったのでした。
じつは、以前に給油中のこの個体を見たことがあり、オーテックがバブル期にリムジンを創っていたのはなんとなく覚えていたのですが、わたしもセドリック・ブライダルセダンに乗っているので、ロイヤルリムジンの実物をこのようにじっくりと見たのは初めてでしたので、興奮モノでした。
同じY31セドリックベースのオーテック特装車でも、こちらは高級車で当時は1,000万以上のプライスで売られていたそうですから、ブライダルのタクシー内装とは桁違いな豪華ぶりに感激でした。
エアサスを含め、オリジナルの状態をよく保たれており、これからも大切に乗り続けて欲しいなぁ~と、同じオーテック車オーナーとして思いました。いつか並べて見たい!
【参考:オーテックジャパン・セドリック・ブライダルセダン・Bタイプ(1999年)】





