スズキ・フロンテ71 (LC10Ⅱ型 – 1971年)

日本車-スズキ

スズキ・フロンテ(LC10-Ⅱ型 - 1970年式)_01スズキ・フロンテ(LC10-Ⅱ型 - 1970年式)_02スズキ・フロンテ(LC10-Ⅱ型 - 1970年式)_03




スズキ・フロンテ71,ニューフロンテ
(SUZUKI FRONTE “71” and “72” – LC10Ⅱ – 1970年-1973年)


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21世紀の軽乗用車、スズキ・アルトのルーツとなるフロンテシリーズ。その2代目は、「スティングレイ・スタイル」と呼ばれたシャープなラインを描く、ビジネス、ファミリーからスポーツ志向までをカバーする、スズキの代表的なモデルでした。
ここでは、空冷式エンジン搭載の「フロンテ71」と、水冷式エンジン搭載の「ニューフロンテ」をご紹介します。


スズキ・フロンテ(LC10-Ⅱ型 - 1970年式)_05スズキ・フロンテ71・S (1971年式)
まずは、2代目フロンテの初期モデル、空冷式エンジンを搭載したフロンテ71です。中でも、スポーツ志向の上級グレード「S」をご紹介します。
初代LC10型の全体的に丸みを帯びたデザインとは対照的に、エッジの効いたデザインが、2代目フロンテ71こと、LC10-Ⅱ型の特徴です。「フロンテ71,71Wからニューフロンテ」は、角型のヘッドライトで、後でご紹介する最終モデル「ニューフロンテ」は、丸型ヘッドライトとなっています。


スズキ・フロンテ(LC10-Ⅱ型 - 1970年式)_06この個体、「フロンテ71S」は、スポーティな仕様が特徴で、砲弾型ミラーや黒が基調のフロントグリルなどが特徴で、「S」の専用バッジも備わっています。
「スティングレイ・スタイル」と呼ばれた2代目フロンテは、この横からの姿が特にその名を顕著に表しています。
ホイールは、スズキお得意の10インチサイズで(当時は8インチサイズが多かった。)、この個体は、併せホイールに、165R10サイズのタイヤが着いており、いわゆる”ツライチ”でカッコ良くキマっていました。


スズキ・フロンテ(LC10-Ⅱ型 - 1970年式)_07フロンテ71Sの精悍なフロントマスクです。
「S」の専用バッジが着き、ブラックアウトされたフロントグリルと、当時のスポーティーカーの特徴である、「砲弾型ミラー」で、純正ドレスアップされています。
2代目フロンテは、バンパーがこのように、左右に分かれているのが特徴でした。
当時の360ccクラスは、小さな白いナンバープレートで、分類番号「88」と云う、一見改造車と同じに見える番号が着いていました(この他、8と云うのもあったようです)。


スズキ・フロンテ(LC10-Ⅱ型 - 1970年式)_082代目フロンテの後姿。
初代LC10型がテールランプまで徹底的に「丸」なのに対し、二代目は徹底的に「角」で勝負と云う感じのデザインです。
後退灯は、コンビネーションランプの中には無く、めっきのバンパー中央に埋め込まれています。
スリットが多いことで判る様に、エンジンは、初代同様、後ろに積まれており、リヤエンジンリヤドライブ(RR)となっていました。


スズキ・フロンテ(LC10-Ⅱ型 - 1970年式)_09リヤクォーターピラーには、「スティグレイ(魚類のエイのこと)」型のガーニッシュがあり、「Suzuki」のバッジが着いていました。


スズキ・フロンテ(LC10-Ⅱ型 - 1970年式)_10リヤエンジンゆえに、フロントボンネットフードの下は、比較的大きな荷室スペースになっています。
正アリゲーター式に開くフードの中は、驚くほど綺麗に保たれていました。
天地は多少浅いのですが、荷物を載せるには十分のスペースが確保されています。
ちなみに、製造番号プレートは、このフロントバルクヘッド部分に着けられていました。


スズキ・フロンテ(LC10-Ⅱ型 - 1970年式)_11こちらは、中々珍しい位置にある、フロントボンネットフードの固定棒で、ボンネット中央の付け根側から生えていて、閉めている時は、常にボンネットフード側に、バネで張り付く仕組みになっています。


スズキ・フロンテ(LC10-Ⅱ型 - 1970年式)_12フロンテ71の標準タイヤサイズ135に対し、165を履くこの個体の”ツライチ”がよく判る一枚。
併せホイールながら、いわゆる「深リム」になっているのがなんともカッコいい!
リヤフェンダー後端に、大きな通気口が着いているのも2代目フロンテの特徴で、これは、エンジンルーム内の冷却を狙ったものと思われます。


スズキ・フロンテ(LC10-Ⅱ型 - 1970年式)_13さて、こちらは先ず、タイヤの標準空気圧のステッカー。
前:1.0kg/㎠、後:1.7kg/㎠
と、低めの設定になっています。バイアスチューブタイヤだからでしょうか。
そして、リヤシート下に生えるレバーに注目していただきたいのですが、これは、後ろのエンジンフードを開ける為のレバーで、引くとフードが少し持ち上がるようになっています。


スズキ・フロンテ(LC10-Ⅱ型 - 1970年式)_14エンジンフードを開くと、なんとエンジン本体の姿には中々お目に掛かれませんでした。
一つは、スペアタイヤがエンジンルームに収まるようになっている為ですが、スペアタイヤは、トランクルームにも固定できるようになっています。そして、左横の四角いラッパのようなゴムの口が、エンジンの吸気口で、奥に丸型のエアクリーナーボックスが見えます。空冷式ゆえに、エンジン本体は、強制空冷用のカバーで覆われているのでした。


スズキ・フロンテ(LC10-Ⅱ型 - 1970年式)_15エンジン本体を覆うカバーによって集められた熱気は、ジャバラ状のヒーターホースによって、室内を暖めるのに利用しているようです。真鍮のような構造物には、ワイヤー式で可動する部分がありますが、これは室内からの操作で、熱気の流れを開閉出来るようになっているようです。
ちなみにエンジンは、初代LC10型からの直列3気筒を基本としており、「S」グレードは、34馬力を発生していました。


スズキ・フロンテ(LC10-Ⅱ型 - 1970年式)_16そして、なんとパンタグラフ式ジャッキもエンジンルームに搭載されていました。どうりでフロントトランクルームがスッキリし過ぎていたわけでした。
黒いタンクは、「オイルマチック2サイクルエンジン」の分離給油用エンジンオイルのタンクです。
テールランプのあたりに延びているワイヤーは、エンジンフードを支えるワイヤーです。


スズキ・フロンテ(LC10-Ⅱ型 - 1970年式)_17「CCI」のステッカーは、スズキの分離給油式2サイクルエンジンに採用された独自のシステムで、その後「CCIS(Cylinder Crankshaft Injection System)」と呼ばれたものと基本的に同じです。
当時の2輪にも採用されていたようですが、エンジン構成部品(クランクやコンロッド)に吹き付けて冷却してから、燃焼室に送り込むと云うユニークなシステムだったようです。


スズキ・フロンテ(LC10-Ⅱ型 - 1970年式)_18こちらは、リヤホイールですが、ブレーキドラムの周りにリムを固定する「併せホイール」式で、この個体は標準サイズより遥かに太い165R10と云うダンロップタイヤを装着している為、深いリムは、オリジナルではないと思われます。
バフ掛けと思われる、独特の輝きを放っていました。
この2代目フロンテの足回りには、前輪にダブルウィッシュボーンが奢られていました。


スズキ・フロンテ(LC10-Ⅱ型 - 1970年式)_19さて、室内ですが、まずドア内張りには、まだ新車当時のものと思われるビニール養生が残っていました。
黒で統一されたスポーティな内装ですが、上級の普通車並みの取っ手が備わっていて、質感があります。
そして、この時代のクルマの良質装備、「三角窓」も備わっています。


スズキ・フロンテ(LC10-Ⅱ型 - 1970年式)_20インストゥルメントパネルは、回転計も備わる三眼メーターを中心とした計器類を、なんとウッドパネルが覆っています。
これは「S」グレードの装備のようでしたが、大変高級感のあるものでした。
この個体は、ナルディのウッドステアリングに換装されていますが、それがとてもさりげなく似合っておりました。
インストゥルメント右下にある縦のレバーを引くことで、フロントフードが開くようになっています。


スズキ・フロンテ(LC10-Ⅱ型 - 1970年式)_21フロンテ71Sの34馬力を発する2サイクル3気筒エンジンは、実に8,500rpmからがレッドゾーンと云う高回転型エンジンでした。
しかし、当時は、まだ低速トルクをカバーするような排気デバイスはありませんので、下は3,500rpm以上の回転でなければ発進が非常にシビアだと、オーナー様が仰っておりました。
そして、スピードメーターには、3桁のトリップメーターも奢られていました。オレンジのランプは、方向指示器のインジケーターのようです。


スズキ・フロンテ(LC10-Ⅱ型 - 1970年式)_22「S」グレードには、オイルインジケーターも立派な四角いランプが備わりますが、ファミリーグレードなどは、黒いステッカーが示すように、丸型の少し見辛いインジケーターランプが備わっていました。
ライトスイッチやイグニッションキーは、インストゥルメントパネル上に着いていました。
ステアリングコラムの付け根辺りにある丸いレバーは、ハザードスイッチです。


スズキ・フロンテ(LC10-Ⅱ型 - 1970年式)_23高級感抜群のセンターコンソール。左上から、チョークレバー、シガーソケット、フロントワイパースイッチです。
ヒーターのオンオフスイッチは、ここには無く、デフォッガー(DEF)と室内(ROOM)の切り替えのみでした。
1DINサイズが入りそうな、AMラジオは、東芝製のスズキ純正5プリセット機能付きです。


スズキ・フロンテ(LC10-Ⅱ型 - 1970年式)_25こちらが、ヒーターのON/OFFスイッチ。
シフトレバーの後ろにあります。
エンジンルームにあった、ジャバラホースの付け根部分をワイヤー式で開閉することで、ON/OFFを切り替えるようになっています。


スズキ・フロンテ(LC10-Ⅱ型 - 1970年式)_26スズキ・フロンテ(LC10-Ⅱ型 - 1970年式)_27


こちらの2枚は、LC10Ⅱオーナーさんへのサービスカット。
純正スパークプラグの番数や、各部のグリスアップ箇所が書かれた純正ステッカーが綺麗に残っていました。
製造プレートも、新品のようにピカピカで、驚く限りでした。


スズキ・フロンテ(LC10-2型 - 1972年)_06スズキ・ニューフロンテ(LC10W型)
丸型ヘッドランプのLC10W型は、マイナーチェンジ後の水冷モデルで、ニューフロンテと云うタイプの最終型です。
丸いヘッドライトとテールランプとナンバープレートの間に、黒いガーニッシュが着き、三角窓は無くなってしまいました。ボンネットやグリルの形状がさらにシャープになりました。前のバンパーも一本に繋がっています。


スズキ・フロンテ(LC10-2型 - 1972年)_07【スペック】
車両慧式:スズキ LC10W型
エンジン:水冷式2サイクル直列3気筒 356cc シングルキャブレター式 分離給油式
最大出力:34ps/5,000rpm
最大トルク:4.1kgm/4,500rpm
駆動方式:RR
変速機:4速マニュアル
※空冷モデルには、「オートクラッチ」式があったようです。
サスペンション:F/ウィッシュボーン式、R/トレーリングアーム式
車両重量:460kg
乗車定員:4名
水冷エンジンが登場してからも、空冷エンジンは残っていたようです。
ファミリー/ビジネスタイプ、豪華タイプ、スポーツタイプ、と大きく3種類に分かれたグレード設定がされていました。
軽自動車の豪華装備化、多様化が、より進んだ時代と云えると思います。


スズキ・フロンテ(LC10-Ⅱ型 - 1970年式)_28【こぼれ話】
ここに紹介した、フロンテ71Sは、「チームヤマモト・クラシックカーフェスティバル2011」の会場で、オーナー様にお声を掛けさせて頂き、取材させていただきました。ありがとうございます。
ニューフロンテの方は、友人に教えてもらったヒストリックカー屋さんで、取材しました。
ニューフロンテは、子供の頃、親父がGD-Wと云うファミリーグレードに乗っておりましたので、思い出深い一台です。
スズキ・フロンテ(LC10-Ⅱ型 - 1970年式)_29スズキのオートバイ、GT380とそっくりなエンジンでしたが、ガスケット抜けや、高速で焼きついたり、マフラーが破れて爆音になったりと、いろいろありましたが、長いこと乗っていたと思います。
8インチなので、ハンドルは軽く、昔の2ストロークなので、トルクは薄かったように思いますが、親父は「これは3気筒やから静かやねん。」といつも言っていました。
既にカローラなどの4気筒4サイクルの普通車が流行っている頃だったので、「どこが?」と思っていたのを、よく覚えています。


スズキ・フロンテ(LC10-Ⅱ型 - 1970年式)_30免許取ってからは、一度も乗ったことが無いので、一度運転してみたい一台です。


※2012.2.9 スズキ・フロンテLC10型の記事掲載のニューフロンテの部分をこちらに統合しました。

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