

ジャガー・Eタイプ
(Jaguar E-type 4.2 – 英国車 – 1966年式)
英国の高級車メーカー、ジャガー。
そのジャガーが送り出した、最高傑作のひとつが、スポーツカー、Eタイプ。
「流れるようなボディ」と云う表現が、これほどぴったりと当てはまるクルマは他に類を見ない程ですが、この流麗なEタイプのシリーズ1後期型の4.2リッターモデル、1966年式をご紹介します。
Eタイプは、スポーツカーの特徴たる「ロングノーズ・ショートデッキ」を、最も綺麗な曲線で表現したデザインと云えます。
Malcolm Sayerと云うデザイナーが描いた曲線を、シリーズ1は、忠実に再現しています。



後姿も、猛獣「ジャガー」のイメージそのままに、小股の切れ上がった流麗さで表現されていて、センター出しのエキゾーストパイプに至るまで、正に死角無しのデザインと云ったところです。
この個体は、ロードスターで、幌の屋根も備わるようですが、脱着式のハードトップが着いていました。この脱着式ルーフも完璧な曲線美で、描かれており、芸術作品のような出来栄えです。
クロムめっきのモールなど、ひとつひとつのパーツが宝石のような美しさです。
一方、「E-type」と云う、ジャガーのレーシングモデルの系譜を持つだけに、機能的にはレーシングスポーツカーの一面を備えています。
ボンネットフードも、フロントカウルのように全体が大きく開くようになっています。
この角度から見ると、正にレーシングカーですが、フードはFRPではなく、金属製のようでした。
それにしても、裏側まで手抜き無しのぴっかぴかの塗装が施してあるのも印象的でした。
「7E」と呼ばれる、水冷式直列6気筒 DOHC 4,235cc エンジンに、SU型のキャブレター3基が組み合わされ、265HP/5,400rpmの出力と、39.1kgm/4,000rpmのトルクを発生する、強力なパワーユニットを搭載しています。
この個体は、エンジンも宝石のように磨き上げられ、輝きを放っていました。
今おろしてきたばかりの新車のような完璧なコンディションでした。
こちらは、Eタイプの製造プレートですが、シャシー、エンジンナンバーに加えて、各交換オイルをオイルメーカー別に指定する表や、バルブクリアランスまでが刻印されていました。
フロントのダブルウィッシュボーン式サスペンション。チューブラーフレームに搭載されたアーム類がレーシングカーの系譜を感じさせます。
ホイールも、当時のレーシングカーに多く採用されていた、スピンナー型のセンターロック式ワイヤーホイール。その奥には、ロッキード社製のディスクブレーキシステムが見えました。
変わって、シルバーのアクセサリーのようなドアノブを開くと、室内はGTカーの雰囲気が漂います。
真ん中のメーターやトグルスイッチがずらりと並んだところはレーシングカーの雰囲気ですが、全体はグランツーリスモの高級感が漂います。
しかし、ステアリングとシフトノブ以外に、英国車お得意のウォールナットや木目が使われていないのが意外でした。
クロムめっきのストレートなサイドブレーキレバーがカッコいい。
メーターが並んだところの中央にあるのは、ヘッドライトスイッチ。なんとも美しい造型。
このセンターコンソールにイグニッションキーも存在し、このパネルに室内の様々な機能が凝縮されているようでした。



【こぼれ話】
この個体は、チームヤマモト・クラシックカーフェスティバル2012の会場でオーナー様にお声を掛けさせて頂き、取材させていただきました。ありがとうございます。
それにしても、この個体のコンディションは素晴らしく、おろしたての新車のようでした。
オーナーさんは、Eタイプ一筋だそうで。このクルマに対する愛情が大変よく伝わって参りました。
ジャガー・Eタイプは、子供の頃から知っているクルマのひとつでしたが、今回初めてじっくりと見せていただきました。
わたしの中では、子供の頃から「イギリスの偉い人やお金持ちが乗る車」と云うイメージが定着していたのですが、ほんとうにサラブレッドのような、上質な気品溢れるクルマでした。
じつは、レーシングモデルの系譜でEタイプと名づけられているそうですが、上品なデザインゆえに、京都の古い町並みや嵯峨野の古道など、日本的な上品な場所にも似合いそうなところが、このクルマの奥の深さを感じさせました。
手入れの行き届いた日本庭園の芝にこのクルマをそっと止めて、眺めて居たら何時間でも過ごせそうだな。など、勝手に想像してしまいました。



