ユーノス・ロードスター・M2-1001
(EUNOS ROADSTAR M2-1001 – NA6CE型 – 1990年)


今やマツダが世界に誇るライトウエイトスポーツ、ロードスターですが、初代ロードスターこと、ユーノス・ロードスターの珍しい限定モデルをご紹介します。
その名の通り「エムツー(M2)」と云う名のマツダ資本の会社が創り出した、NA6CE型ロードスターのスペシャルバージョンで、「M2 1001」と云うモデルです。

M2-1001は、1990年に登場しました。
NA6CE型ですから1989年登場の初代1600ccモデルをベースに、ボディーカラーやホイールなどの内外装、エンジンまであちらこちらに「スペシャル」部品が装備されているのが特徴です。
エンジンは、10馬力アップの130psです。
FC3S型RX-7にも、「アンフィニ」と云う凝りに凝ったメーカー限定モデルがありましたが、M2-1001は、それよりさらに進めて別会社「株式会社エムツー」を立ち上げての、本格コンプリートカーに仕立て上げられていました。
M2-1001の生産台数は、300台と云われています。
4点式ロールバーと、「ブルーブラック」と名づけられたボディカラーも、M2-1001の標準装備です。外装では他に、専用エンブレムや、丸型フォグランプ埋め込み式フロントスポイラーを装備しています。
標準装備のホイールは、15インチで(ノーマルは14インチ)、パナスポーツと云う社外ブランドのものでした。
さらに、この個体はオーナーの手でさらにカスタマイズが施されています。
クリアテールランプもその一つです。

こちらは、M2-1001のエンブレム。
ロータスのマークは後付けですが、知らない人が見たら本気にしそうなスペシャルカーではあります。
(昔、いすゞ・ジェミニには、本当にロータス仕様もありました。)
ちなみに、1001発売後の約一年後には、別のボディカラーや装備を持ったM2-1002が登場しているようです。

ステンレスのような質感のドアミラーもM2-1001のスペシャルパーツです。

このレーシングカーのクイックチャージャー風に仕立てられた、エアプレーンタイプの給油口とリアフェンダーに貼られた枠も含めて標準装備品です。
これはかなり目立ちますし、とにかく造形が美しく、カッコいいです。

こちらが、パナスポーツ製のPRORALLYと云う名のM2-1001純正ホイール。5JJ-15サイズで、ノーマルより1インチアップされています。
オーナーの後付け品ですが、ムーンアイズのバルブキャップが芸が細かいです。

エンジンは、NA6CE型ロードスター標準と同じのB6-ZE型で、水冷式直列4気筒 DOHC 1,597ccですが、標準より10馬力上がって、180psとなっています。
この個体は、パワーフィルターに換装されています。
M2-1001標準のエンジンは、FC3S型アンフィニ限定車もそうでしたが、パッと見た目でノーマルのNA6CEと機能的に変わっているところを見つけるのが難しいと思います。
さりげない10馬力アップは、メーカー系チューンならではの妙と云えます。

見た目で一番スペシャルチューンだと判りやすいのは、このM2-1001標準の等長エキゾーストマニーホールド。
この、通称「タコ足」は、今やそれ程高くないアイテムも存在しますが、NA6CEの時代には、社外品もまだパーツだけで二桁万円した時代です。それもメーカー製作のタコ足ですから、当時、相当豪華な装備だったと思います。
と、同時に「これならプラス10馬力は行くわ。」と納得したのでした。

こちらは、本物のM2-1001である事を示す、M2社の専用シリアルプレート(画像の車体番号はマスクしてあります)。
M2社でメンテナンスを受ける時には、この番号を申し出るように書いてあります。
M2-1001は、東京の株式会社エムツーに行って予約しないと買えなかったクルマだそうなので、恐らく海外には販売されていないと思いますが、何故か英語表記でした。

さらに、ユーノスの純正車体番号も別に存在します。
陸運支局への車検登録上は、こちらのNA6CE型として、車体番号申請を行うようになっていたようです。

内装は、ちゃんと撮れていないのですが、手前の4点式ロールバー、ドア内張り、フロアカーペット、ステアリング、メーターパネルと計器類(機械式だそうです)、エアコンの噴出し口、センターコンソールのパネル、シフトノブ、そしてバケットシートなど、主要部品の多くが、M2-1001専用のパーツになっていました。
但し、この個体のシートは、レカロに交換されていました。
M2-1001純正のバケットシートは、モケット調の一体式のハイバックタイプでした。
(FC3Sアンフィニ限定車もよく似た形状でした。)

あまり見易い写真ではありませんが、M2-1001のメーターパネルと、ステアリングです。
メーターパネルは、見た目も明らかにノーマルと違います。
左から、燃料計、速度計、回転計、水温計ですが、機械式だそうで、さらにワーニングランプ類は、丸いランプが灯くようになっていて、レーシングスポーツの雰囲気が漂っていました。
手前の専用革巻き3本スポークステアリングは、モモ(MOMO)製で、ホーンボタンに「M2 CORPORATED」の文字が入っていました。アルミ地そのままのスポークが黒の内装と似合っていました。

【ユーノス・ロードスター・Vスペシャル】
こちらは、特別グレード「Vスペシャル」です。
ナルディ製ステアリングをはじめ、木目のシフトノブなどのパーツ、タンの内装とネオグリーンのボディカラーで、ブリティッシュライトウエイトスポーツ雰囲気をさらに濃くした内容となっていました。
限定車M2-1001と違って、こちらは純正の特別グレードと云う位置付けのようで、ボディカラー以外の外観は、ノーマルでした。
8本スポークのホイールがよく似合っていますが、これは社外品だそうです。
また、幌もありますが、このように樹脂製のハードトップもあったようです。
さらにハードトップも写真のように無塗装の黒いタイプとボディと同色のタイプがあるようでした。

【こぼれ話】
この両個体は、友人でもあるオーナー様にお声を掛けさせて頂き、取材させていただきました。ありがとうございます。
オーナーさんは、原付で一緒にツーリングしたり、何かとお世話になっている方ですが、乗ってらっしゃるロードスターが限定車M2-1001だと判って大変驚きでした。
また、同じ仲間内の友人が普段乗っているロードスターも実は、NA6CEでVスペシャルでした。
わたしも、ユーノス・ロードスターは、何度か運転させていただいたことがあります。
若い頃にSスペシャル、そして最近では、ここに紹介させて頂いた個体のVスペシャルでした。
感想は、「まぁ、なんとよく曲がるクルマ。」と云う印象でした。
どれぐらいよく曲がるかを、わたしの経験で表すと、初代ミニとポルシェ・911カレラ(993)の間ぐらいとでも云いましょうか。ちょっと幅がありすぎますでしょうか。
正方形に近い4つのタイヤの配置と短いオーバーハングからも来るのでしょうけど、ほんとに見た方向に素直に曲がって行きます。ただ、初代ミニと違うのは、FRゆえもあってハンドルの切り角がとても少ないことで、カーブに入ってしまえば、ステアリングは少しづつニュートラル方向にもどしつつ、あとはアクセルを踏んで曲がっていく感じがしました。
そして、なにより「楽しい」。このひとことに尽きます。
英国TV「TOP GEAR」でリチャード・ハモンド氏が日本語で野賜った「JINBAITTAI(人馬一体)」とはこのことかと、感慨深いものがありました。
日本のメーカーが、信頼性やハイテクだけでなく、アナログ運転の面白さも創れる事を世界に示すことに成功した、NA6CE型ユーノス・ロードスター(輸出名:MX-5)。
さらに、Vスペシャルのオーナーでもある友人から、ユーノスロードスターのテールランプは、ニューヨーク近代美術館に永久所蔵されていると伺いました。
60年代の名車、英国ロータス・エランに負けないぐらい長生きするように、メーカーさんもしっかりアフターパーツ供給を続けて頂きたいと切に願います。
このクルマ、名実共に間違いなく歴史に残る世界の名車です。



