

フォード・フェアレーン500
(Ford Fairlane 500 – 米国車 – 1957年式)

古き良き次代、50’sアメリカンの一台をご紹介します。
1957年式、フォード・フェアレーン500。
ボンネットのオーナメント、大型のクロムめっきバンパーとオーバーライダー、ボディサイドの曲線モール、そしてテールフィンとホワイトリボンタイヤ。1950年代アメリカ車の定番がすべて詰まった一台です。

フェアレーンは、1955年に初代がデビューしました。その後1957年に2代目が登場し、この個体、フェアレーン500クラブヴィクトリアは、フェアレーンシリーズの最高級グレードでした。
翌1958年には、フェアレーン500スカイライナー(Skyliner)と云う、ヘッドライトが4灯のタイプにマイナーチェンジされています。

フェアレーンのシリーズ構成は、フェアレーン(初代:1955-1956)、フェアレーン500(2代目:1957)、フェアレーン・スカイライナー(2代目マイナーチェンジ:1958-1959)となっており、フェアレーン500の中でも、直列6気筒(3,700cc)エンジンのシリーズとV型8気筒(4,500~5,800cc)エンジンのシリーズがありました。グレードは、4ドアは「Town Sedan」、「Town Victoria」と呼ばれ、2ドアは「Town Victoria」、「Club Victoria」、2ドアコンバーチブルトップのタイプが「Sunliner Convertible」と呼ばれていました。

この顔つきだけで、1950年代フルサイズアメリカンの雰囲気満点です。
ヘッドライト周りの複雑な造形が美しい。
当時、同じ顔つきでフォード・ワゴン(Ford Wagon)と云うステーションワゴンもありました。

1950年代アメリカンの代名詞、丸いテールランプとテールフィン。
さらに分厚いクロムめっきバンパーで最高の雰囲気を醸し出しています。
磨き上げられたこれらのパーツは、宝石のように輝いていました。
(丁度この記事を書いているときに流れたBGMが、1958年のチャック・ベリーの名曲「Johnny B. Goode」でした。)

こちらは、リヤホイールを覆うスパッツで、今や大変貴重なパーツだそうです。
あまりにも綺麗に磨き上げられたボディは、周囲の人や景色がはっきりと映りこんでしまいます。

こちらのパーツは、サイドミラー。なんと芸術的なデザインでしょう。
よく観ると、このサイドミラーは、大変大きなフロントフェンダー上に装着されておりましたので、このフェアレーン500は、「フェンダーミラー」装着車と云うことになります。
アメリカ車は、ずっとドアミラーが標準と思っていました。形は日本のフェンダーミラーのようににょきっと長い足が生えていないので、違和感がありませんでした。

「Ford Thunderbird」の文字が輝く、フェアレーン500の水冷式V型8気筒OHV “Thunderbird”312cubic inch(5,100cc)エンジン。
グロス値で245HPの高出力仕様でした。
さらに、米国のハイウェイパトロール仕様には、このエンジンにスーパーチャージャーを搭載した”Thunderbird Special”300HP仕様も存在したようです。

こちらは、フォード製のパーツでは無く、本来、自動車の部品でもありません。
オーナー様が、鉄道もお好きで、ご自身で搭載されたと云う日本の電気機関車の警笛です。
真鍮製ですし、国鉄時代のものでしょうか。貨物列車が「ヒョーッ!」と鳴らすあの警笛です。
これ自体、結構大きな部品ですが、1950年代フルサイズアメリカンのエンジンルームは搭載場所に困らない位に大きいのが特徴でした。

オールディーズを聴きながら、ゆったりと流したくなる運転席です。

室内も50’sアメリカン満載です。
ジュークボックスのように華やかなインストゥルメントパネル、そしてめっきのホーンリングが着いた白いステアリング。
トランスミッションは、この個体はATでしたが、種類としては3速と2速ATがあったようです。
さらに3速マニュアルもあったようですが、こちらはポリス・スペシャルだったのかもしれません。

シートは、2色の生地でソファのようにフカフカそうでした。
リヤシートの間にも、めっきのオーナメントが埋め込まれていました。これは最近の高級車では見られない豪華装備です。
天井の造形と内張りの雰囲気もいい感じでした。

【こぼれ話】
この個体は、中兵庫クラシックカーフェスティバル2012の会場で、オーナー様にお声を掛けさせて頂き、取材させていただきました。ありがとうございます。
50年代アメリカン、初めてじっくりと見せていただきました。
フォード・フェアレーンと云う名前は、1980年代の超マイナーなオーストラリア・フォード製セダンで知ったのですが、元々はアメリカの代表的なクーペだと云うのがよく解りました。

この時代のアメリカンフルサイズは、そのデザインの一つ一つが、現在でも雑貨などのデザインモチーフになっているように、豪華で美しく、時代の雰囲気を醸し出す魅力を持っています。
このフェアレーンの室内に乗り込んだだけで、頭の中は1950年代のアメリカへタイムスリップ出来そうです。
たとえデザインのためのデザインであっても、ここまで究極の輝きを放つと、機能的な事はどうでもよくなってしまいます。
この時代、このサイズだからこそ出来る贅沢な一台でした。



