
幸福<Xingfu>250A
(Xingfu 250A – 中国車 – 1985年)

大変珍しい、中国製のちょっと古いバイクをご紹介します。
名前は「Xingfu 250A」ですが、Xingfuは、漢字で「幸福」と書きます。
中国旗にちなんだのでしょうか。真っ赤な鉄馬オートバイは、1950年代のチェコスロバキアの「Jawa(ヤワ) 353」と云うオートバイを手本にしたレプリカバイクのようですが、どちらもオートバイメーカー王国の日本では馴染みの無い国です。

幸福250Aは、日本車で云うとベンリィ号やメグロのような懐かしいスタイリングが特徴です。
1950年代のバイクを手本にしているので、当然かもしれません。
フロントフェンダーには、ナンバープレートの為と思われるステーが付いています。
ウインカーレンズは、1970年代ヤマハのものと形状がよく似ていました。
全体的に丸みを帯びており、中々スタイリッシュです。

特徴的なのは、大きなサイドカバーです。これもスチール製でした。
ヘッドライトとコンビネーションメーターのカバーと、タンクの流面がなんとも綺麗でした。
ショックアブソーバーの形状やダウンマフラーなど、1950年代の雰囲気満点です。


テールレンズがユニークでした。
テールライトと、方向指示器は、ひとつのレンズにコンビネーションされているようです。
シートは、ロングタイプですが、それぞれ独立風の形状になっていてこれもユニークでした。
リヤキャリアはありませんでしたが、後ろの控えめなめっきのバーは、タンデムグリップでしょうか。

排気量は248.5ccだそうで、空冷式2サイクル単気筒 圧縮比7.2:1のエンジンは、約11bhp(英馬力)を発生するようです。
変速機は、4速だと云うことで、チェーンで駆動します。
エンジン始動は、キックのみです。
車体重量は、135kgということで鉄の塊りに見える割には、以外と軽目の印象でした。
(筆者のCD125Tベンリィの方が重い。)
燃料は14リッター入るそうです。
単気筒バイクですが、左右2本のエキゾーストパイプが出ていました。

タイヤは、前後3.25-16インチと云うサイズのようです。
ブレーキシステムは、前後ドラム式でした。
日本製オートバイの多くと違い、右側にチェーンが着いています。

一体型のヘッドライト/計器のカウリングがスタイリッシュです。
嘗てのホンダ・ベンリィ号にもこのような一体形状があったと思います。

ハンドルの左側のコンビネーションスイッチ。
グリップの根元に大きなダイヤルが着いていますが、何に使うのでしょう?
マジックでRと書いてありましたが、どれが何の機能かは不明でした。

変わってハンドル右側は、スイッチの類は一切ありません。
上向きに着いているダイヤルネジは、スロットルのあそび調整でもするのでしょうか。
とてもシンプルな造りです。

漢字の国の速度計。
数字はキロメートルのようですが、公里/小寸と云うのは「速度/距離」と云う意味でしょうか。
計器盤に漢字が、妙にカッコ良く見えました。

【こぼれ話】
このXingfu 250Aは、兵庫県川西市にある、老舗のオートバイ修理専門店「小林モータース」様に取材させていただきました。
ありがとうございます。
このお店、知る人ぞ知る、どんなに古いバイクでもきっちり修理してしまう、この道一筋半世紀以上の本物の昭和の整備職人さんのお店です。
このXingfu 250Aをはじめ、メグロ・スタミナなど、かなり古いバイクが沢山置いてありました。
整備中の一台を例に説明していただいたのですが、このお店のオーナーさんは、エンジンの専門的な難しいお話を、誰にでも解り易く説明してくださいます。
わたしがコンピューター技術屋として目指している「誰にでも解り易く」の完成形を見せて頂きました。
それは、技術大国ニッポンを支えて来られた、この道一筋の職人さんだからこその成せる技で、頭が下がる思いでした。
曰く、「タイヤを交換する時は、ホイールのベアリングぐらいは最低限チェックしないとね。」
オートバイと云う機械に対する情熱とやさしさと愛情に溢れたお話を沢山聴かせていただきました。
このお店なら、中国製の1950年代設計のバイクでも、調子良く走ってくれることでしょう。
小林さんのオートバイ、メカと向き合う姿勢、少しでも見習っていこうと思ったのでした。



