スズキ・マイティボーイ
(SUZUKI MIGHTY BOY – SS40T型 – 1987年*)
80年代は、第二期軽自動車ブームと云われた時代で、その後期には、第一期と同じく実に様々な軽自動車が創られました。
また、80年代と云う固定概念をぶち破る時代も後押し、中でもスズキは「軽ピックアップ」と云うユニークなジャンルを提案しました。
ここでは、「マー坊」こと、スズキ・マイティボーイの後期型をご紹介します。
<2015/05/10 初期型カスタムを追加>
「スズキのマー坊とでも呼んでくれ!」と云う、東京JAPと云うロックバンドが務めたTVCMのコピーで一躍有名になった、マイティボーイ。
その実態は、「軽自動車のピックアップトラック」と云う新しいジャンルの軽自動車でした。
SS40系セルボ/アルトと共通のプラットフォームに、2シーター化したキャビンとトラック型の荷台と云う組み合わせで、実にユニークな遊び心溢れるパッケージに仕上がっています。
当時、廉価モデルで45万円からと云う価格設定も併せて、それまでの「ぜいたく品」や「ステータス」から、さらに一歩すすめて「自動車で遊ぼう」的なコンセプトを、提案したモデルでもありました。
当時、フェアレディZやRX-7のようなスポーツカーでさえ、「日本国内では、2シーターは売れにくい」と云うことで、2+2座席の4名乗車がまだまだ当たり前の時代でしたから、このコンセプトが如何に斬新であったかが伺えます。
真横から見ると、ものの見事に軽自動車でピックアップのフォルムを実現しています。
アメリカに、「シボレー・エルカミーノ(Chevrolet Elcamino)」と云う有名なピックアップがありますが、それをSD(Super Déformer)化したようなデザインは、まだまだ運輸省が保守的だった当時としてはものの見事です。
ルーフラインからテールゲートまでの線を描くと、セルボになりますが、デザイン的にはそこを切っただけなのに、よくまとまっています。
後姿は、一方開きのゲートが備わり、運転席背面には、垂直のガラスが装着されています。
スタイリッシュ且つ、ワイルドなイメージが漂います。
8本スポークのホイールは、社外品で、当時流行したブラックレーシング(Black Racing)です。
見ようによっては、ミドシップスポーツにも見える、やや下からの眺め。
直線的なプレスラインが多用されるなど、強度の為もあるのでしょうが、中々の質感が漂います。
実際に運転してみましたが、運転席が、ほぼ真ん中に位置するので、実際にコーナリング性能もリジッドアクスル+リーフスプリングの軽にしては良かったです。
貨物仕様の足回りの固さが功を奏したと云う見方も出来ますが。
荷室は、軽トラックのようにプレスラインが入っており、広さ自体はそれほど広くありません。
原付や自転車は載りませんが、海外風の使い方で、日常の荷物をちょっと載せるには十分な広さはあります。
荷掛けフックなどはありませんが、後期の上級グレードには、ロールバー風のレールが着いているものもありました。


荷台は一方開きで、軽トラックのように開き、バンパー高で荷物の出し入れが出来ます。
最大積載量は、200kgとなっています。
ヒンジは、シンプルなものですが、しっかりしており、開閉は、上記右の写真手前にある、左右の小さなレバーを横に動かして開きます。

【スペック】
エンジン:F5A型 水冷式4サイクル直列3気筒 SOHC 543cc シングルキャブレター式
最大出力:28ps/6,400rpm
変速機:フロア式5速マニュアル
駆動方式:FF
車両重量:520kg
乗車定員:2名
こちらが、F5Aがたエンジン。ボンネットはアリゲーター型で開きます。
F5A型は、アルトやセルボをはじめ、軽貨物車など幅広く使われていたエンジンで、トルク重視のセッティングで、軽い車体をとてもよく引っ張ってくれます。
これだけコンパクトなボディでも、エンジンルームは広々としており、同じ形状のフロント周りを持つ、アルトには、それを利用して、ツインカムやツインカムターボなどと云った、スポーツエンジンも搭載されました。
若干モデファイされていますが、真っ赤なボディにとても映える黒の室内がスポーティです。
この個体のシートやステアリング、シフトノブは、純正ではありませんが、とても良く似合っています。
ここだけ見ると、ちょっとしたスポーツカーの雰囲気です。
赤いストライプの黒いスポーツシートが、ボディ色ととても良く合っていました。
スポーツグレードの軽自動車からの流用と思われます。
居住性は、シート背面に意外とスペースがあり、横になれば人がひとり乗れるほどです。
(2名乗車のクルマなので、ほんとに乗って走ってはいけませんが。)
ですので、少々の荷物は室内に置けると云う事です。
シンプルなインストゥルメントパネルは、セルボなどと共通のようです。
後期型の上級グレードには、タコメーターも装備されていました。
横置きエンジンですが、シフトレバーの生え方が、ちょっとFRっぽくってスポーティです。
ドア内張りは、黒のシンプルなレザーでした。
タコメーターは、スカイラインRS張りに、水平位置にゼロ点が来るタイプです。赤い十字のピンストライプも含めて、ちょっと意識していたのかもしれません。
このLタイプと云うグレードには、標準装備のタコメーターは、6,500rpmがレッドゾーン入り口となります。
実際にここまで回せなくも無いのですが、エンジン特性はトルク重視で、ここまで回すよりも少し手前でシフトした方が、スムーズで速いように感じました。
さすがにノーマルのダンパーは、ヘタリ気味でしたが、足回りをもうすこししっかりしたダンパーに変えるか、ブッシュ類を交換すれば、かなりイケるハンドリングだったように思います。
<2015/05/10追加>
マイティボーイの初期型で、希少なカスタムパーツを装着したモデルがロフトカフェに来店されましたので、追加しました!

初期型は、このように丸いライトが特徴です。グリルは黒ではなく、微妙に銅色でした。

ドアミラーは、社外品と思われますから、この個体はフェンダーミラー仕様だったのかもしれません。
ホイールは、やっぱり8本スポークが似合います。こちらは黒色でした。

そしてこちらが社外品カスタムパーツのFRP製トノカバー。
マイティボーイの荷台をスポーティなデザインに変えます。外側のカウルと別に荷台部分が開閉式になっていると云う請った造りです。
少し調べてみますと、この部分のカスタムパーツには、かなり色々な形があるようで、メーカーなどは不明でした。
この個体のオーナーさんが入手したときに既に取り付けられていたそうです。
荷台をそのままで、プチ・エルカミーノ風に乗るか、このようにカウリングでミドシップスポーツ風に魅せるか?
いづれにしてもマー坊のオーナーになると、愉しみがたくさんあるようです。

こちらも社外品です。1980年代当時流行った、後付けのサンルーフです。
脱着式で、チルトアップ機能を備えています。
基本的に屋根があればどんな車種にでもつけることが出来たと記憶します。
但し、当然屋根をぶった切りますので、元に戻すことはかなり難しくなります。
水漏れも無いそうで、見た目にもとてもしっかりした造りをしているように見えました。
【こぼれ話】
この個体は、わたしのお気に入りのお店の店主の愛車を取材させていただきました。
高校のとき、バイクの先輩でマー坊の廉価グレードに乗っている方が居られましたが、本格的に運転させてもらったのは、今回が初めてでした。
520kgの軽いボディとトルクフルな550ccエンジンは、予想通りの小気味良い走りを提供してくれました。
ボディの剛性も、この時代の軽にしてはしっかりしており、やんちゃするには、思わずCL72V(初代ワークス)のツインカムターボが欲しくなる、面白いクルマでした。
こういう小さくて、小気味良く、ドレスアップも楽しめるクルマが好みなので、余裕があったら一台欲しい車でした。
取材協力:滋賀県高島市朽木 「LOFT CAFE」(ロフト・カフェ)
音楽好きと珍しい自動車やバイクが集まる、楽しいお店です。メシも美味い!
ホームページはこちら。(クリックすると新しいページが開きます。)



