いすゞ・べレット・1600スペシャル

いすゞ

(PR51型 – 1973年)

いすゞ・べレット・1600スペシャル
(PR51型 - 1973年)

1963年に発売された少しヨーロッパ的な曲線を持つ乗用車で、「GT(グランツーリスモ)」を冠したグレードや、「GT-R」など、個性的なセダン型ボディは、旧車愛好家の間で、今でも人気が高いべレット。

ここでは、生産最終年のOHVエンジン搭載モデル「1600スペシャル」を、たっぷりと写真をまじえてご紹介します。

いすゞ・べレット・1600スペシャル
(PR51型 - 1973年)
いすゞ・べレット・1600スペシャル
(PR51型 - 1973年)

まずは、べレットの外観の造形美。
他の何にも似ていないかどの取れた、とても個性的で美しいデザインを持っています。

特に、4ドアセダンの屋根の後ろから、リヤバンパーにかけての造形が、べレットの最もべレットらしい形と云えるでしょう。

親分のべレル自体が、日本グランプリにも出場したクルマで、べレットは走りの方も、それを受け継ぐかのように、足回りは、前輪がダブルウィッシュボーン式サスペンションが装備され、車体も軽量で、トルクフルなOHV1600ccエンジンとともに、じつにきびきびとした走りを提供してくれます。

60年代の小型ヨーロッパ車の雰囲気が漂うこのセダンは、いすゞ「べレル」と云う、中型乗用車の下に位置付けられたセダンでした。

全方位個性が炸裂するべレット。特に後姿の美しさは、他に類を見ないもの。
こういう旧車の開口部をすべて開いて撮影する機会も珍しいので、撮ってみました。

ボンネットは、写真のように「逆アリゲーター」式に開きます。
ほぼ垂直近くまで開き、スプリングで自立しますし、車幅自体が狭いので、整備性はそれほど悪くないように思いました。
逆アリゲーター式のボンネットは、元々走行中に開いてしまわないようにとの工夫から発生したものと思われますが、レースなどにも使われる当時のGTカーは、この方式を採用するクルマが多かったように思います。

こちらが、1600スペシャルのエンジン。キャブレターはシングルでした。
べレットは、10年間創られていたクルマなので、エンジンや仕様が相当数ある為、詳細の特定は出来ませんでした。
いすゞ・べレット・1600スペシャル(PR50N型 – 1973年)_14こちらは、ボンネットのヒンジ部分に注目。
油圧ダンパーやつっかえ棒が無くても、ばねを使えばちゃんと自立式のボンネットが出来ると云うアイデアモノの逸品。
しかも片持ち式で、ボンネットを開くだけで、ちゃんとカチっと止まる様になっています。
昭和の日本人のものづくりの良さを垣間見ました。

こちらは、ドア内側の綺麗なクロームめっきが施された三角窓、ウインドウクランプ、ドアノブ。
これをピカピカに磨き上げることで、当時のオーナーたちは、べレットを持つことの喜びがあったことでしょう。
これも21世紀の大衆車が失ったもののひとつかもしれません。

なんとも個性的な形状のべレットのダッシュボード。
スピードメーターのレタリングもおしゃれで、タコメーターは無く、燃料計、水温計とバッテリー警告灯のコンビネーションメーターが装着されていました。この内装にぴったりと合うナルディのステアリングは、オーナーさんが装着したものです。

運転席のヒンジ部分にもめっきが施されていました。
斜めに伸びたシフトレバーや、長いサイドブレーキレバーが、いい雰囲気を醸し出しています。
とてもシンプルな室内ですが、ココゾと云うところがキマまればスポーティな室内になるという好例でした。

こちらは、外したべレット・1600スペシャルの純正ステアリング。1973年型にも関わらず、ホーンリングの名残が残る古き良きデザインです。

中央のラジオの下に並ぶスイッチ類などは、21世紀にも通じるデザインです。
ヘッドライトスイッチやワイパー、ウインドウォッシャースイッチのようです。
ラジオは、惜しくも1DINサイズでは無いようですが、これはこのまま残しておいて、この個体のように左下に1DINを吊るすのが正解な気がしました。

シフトレヴァーは、左下にリバースが位置していて、シンクロメッシュ付きの4速マニュアル車でした。
60年代設計のFR車ゆえに、トランスミッションケースからダイレクトに生えるシフトレバーのフィーリングは、カチッとしていてとても心地よいものでした。

こちらは、後席のゲストの為に用意された純正灰皿。
嫌煙ブームの21世紀ではそうは言いませんが、当時の細かな気配りが行き届いたセダンでした。

【こぼれ話】
この個体は、馴染みのお店の常連客である、女の子・・・失礼!奥様がお持ちの個体を取材させていただきました。
ありがとうございます。

若くしてこのクルマのオーナーになられ、クラシックカーイベントにもデビューを果たした、勇猛果敢な!?方で、このクルマの為に、AT限定を解除してマニュアル免許をお取になったそうです。

昭和の日本の旧車なのに、どこかイタリアンな雰囲気を醸し出す、個性的なべレットのセダン。
見せていただいて、乗せていただいて、べレットが間もなく半世紀を迎えようというのに未だ衰えない人気車種なのも解る気がしました。

取材協力:初代LOFT CAFE(当時:滋賀県高島市)

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