
サターン・SC
(SATURN SC – 米国車 – 1999年式)
このWebサイトでは比較的新しい車種ですが、既に消滅してしまったメーカーで、日本にも一時期輸入されていた珍しいクルマなのでご紹介します。
GM(ゼネラルモータース)社のブランドの一つだった、「サターン(SATURN)」の「スポーツカー」、SCです。
ここでは、1999年式の最終型、「3ドアスポーツクーペ」をご紹介します。
サターンは、1997年に日本に上陸しました。主力はSシリーズといわれるセダン、ステーションワゴン、クーペからなるシリーズの2代目で、それぞれSL,SW,SCと云うモデルでした。
日本では、2代目を意味する「SL2」「SW2」「SC2」と云う名前が付けられていたようです。
外観は、各ボディ形状に共通する意匠で、同じGMのポンティアックブランドに通じる、個性的な彫りの深い、寄り目のヘッドライトが特徴でした。
中でも日本では2リッターのDOHCエンジンモデルのみが輸入されたようです。
サターンには大きな特徴がありました。外装の主要パネルの多くが弾性のある樹脂で出来ており、「叩いても蹴飛ばしても凹まない。」と云うものでした。
実際に、発売当初のプロモーション活動では、モーターショウの展示の際に、床に設置された樹脂製のボディパネルをお客が踏んづけたり、ハンマーで叩いたりして確かめられると云う、ユニークな展示物がありました。
また、販売ディーラーの制服が、カジュアルなポロシャツだったりと、当時としては自動車ディーラーの常識を打ち破る画期的な試みもされていました。
ただ、実際の販売数には結びつかず、サターンは僅か4年後の2001年には、日本から撤退してしまいました。
ここにご紹介するのは1999年式のSC(日本名:SC2)で、「3ドアスポーツクーペ」と云う、左側に後席用の観音開き式ドアを装備すると云う、シリーズ中でもさらにユニークな一台です。
右側から見た姿は、普通の2ドアクーペボディですが、左側に周ると、観音開きドアのラインを確認することが出来ます。
この個体は、オリジナルの状態をよく保っており、アルミホイールも純正のままでした。
当時、「スポーツカー」と云う触れ込みでしたが、日本でのいわゆるスペシャリティーカーに近いコンセプトだったようで、ホイールも4穴タイプでした。
後姿も、前面と共通の意匠で、曲面の大型コンビネーションランプが、フロントノーズから周り込んだウエスとラインと繋がるスタイリッシュなデザインとなっており、控えめなデザインながら大き目のリヤスポイラーも装備されていました。
左はクォーターウインドウが分割され、後席用のドアが着いています。
このドアは、前席のドアを開けてから出ないと開閉出来ない仕組みになっており、外側にドアノブは存在していません。
右横からの眺めは、2ドアクーペそのもので、後席は2+2の居住空間より若干広いぐらいのスペースになっています。
このSC2には、ガラスサンルーフも装備されていました。
ボディサイズの関係か、2,000ccクラスながら、規格は、いわゆる「3」ナンバー車でした。
洗練された補機類が整然と収められたエンジンルームですが、75サイズと大き目のバッテリーを搭載している位置などから、重量配分にも気を配っている設計が判ります。
エンジンは、出来るだけ後方に搭載された、1,901ccのDOHC4バルブ4気筒で、日本向けにはこのエンジンタイプのみが輸入されていたようです。
比較的厳しいと云われるアメリカの衝突安全基準の為か、コアサポート部分がとても頑丈に造られており、エンジンより前のノーズ部分のスペースもしっかりととられています。
尚、日本仕様のSC2は、右ハンドルですが、ブレーキブースターが米国仕様の左側のままとなっているのが判ります。
レザー張りのシートなど、スポーティカーの雰囲気が漂う運転席。
トランスミッションは、この個体は4速オートマチックでしたが、SC2には5速のマニュアル車も用意されていたようです。
90年代のクルマながら、既にエアバッグは、助手席にも装備されており、米国の安全基準の高さが伺えます。
エンジンは、DOCH16バルブながら6,500rpmからがレッドーゾーンで、実用回転域を重視したエンジン特性であることが判ります。
速度計は、外側がキロメートルで、内側に黄色でマイル表示が描かれています。
多機能の4トラックカセットコンポが、センターコンソールに装備されていますが、いわゆる1DINや2DIN規格では無いので、メーカー純正品以外のステレオを装着するには、多少の加工が必要な感じがしました。
エアコンは、マニュアル式で、こちらもセンターコンソールに一体で収められています。
【こぼれ話】
こちらの個体は、イタリア車のオーナー様が、車検の代車で借りてきていた個体を取材させていただきました。ありがとうございます。
個性的な外観デザインからも判るように、従来の自動車の様々な常識を打ち破ることに挑んだビッグスリーのブランドではありましたが、僅か4年と云う、モデルのライフサイクル1世代分で日本から姿を消したサターン。
その後、GM経営が窮地に落ちた2010年には、米国からもサターンブランドは消えてしまったそうです。
その後、観音開きドアのアイデアは、同じくビッグスリーのフォードが大株主である日本のマツダが送り出したロータリースポーツクーペ「RX8」が採用しています。
板金要らずの樹脂製のフェンダーは、日本でもホンダCR-Xや日産Be-1が採用していましたが、こちらも斬新なアイデアの一つとして歴史に残ることになりました。
細かいところを見れば、必要にして十分且つ、架空のイメージ先行ではなく、使う人の側に立った戦略自体には、一見の価値があったように思いましたが、時代と合う合わない、またお国柄と合う合わないがあったのかもしれません。



